ホップアップ(クラフト)式フライボール
 フライボールは4台のハードルをジャンプし、ボックスから飛び出したボールを犬がキャッチして、戻ってくる速さを競うリーレー競技です。1970年代後半にアメリカのカルフォルニアではじまったとされ、80年代に入ってから、カナダやヨーロッパ各国にも広まり競技が楽しまれるようになりました。日本にもアジリティーとほぼ同時期に紹介されましたが、アジリティーほどには競技を楽しむチームが増えないまま現在に至ります。
 ボックスには犬がペダルを踏むとボールが飛び上がってくるホップアップ式ボックスと、ペダルとボールの飛び出してくる穴がほぼ同一面にある踏み板パネル式の2種類があり、世界的な競技人口としてはよりスピードの発揮できる踏み板パネル式ボックスが主流となっています。しかし、このスピード主体のフライボールに対して、ボールのキャッチミスなど意外な展開の起きやすいホップアップ式ボックスの方が、競技にドラマがあって面白いとして、日本ではホップアップ式ボックスによるフライボール愛好家が、増えつつあるようです。
 JKCは2005年春季訓練競技会の開催されている江戸川河川敷において、第1回フライボール競技会を、イギルスのクラフトショーで行われていたフライボールのルールを参考に併催しました。クラフトショーではこの当時は、ホップアップ式のボックスを採用していたことから、JKCもホップアップ式のボックスを採用し、参加選手にはクラフト式フライボールとして楽しまれています。
 公式競技には個人競技とチーム競技があり、チームは4頭の犬と4人のハンドラーにより1組が構成され、チーム数が3チーム以下の場合はリーグ戦、4チーム以上の場合はトーナメント戦となります。個人競技は1頭の犬と1人のハンドラーを1組として、2頭同時スタートによるタイムトライアルとして行われます。
 ボックスローダーはボックスの後方に位置し、声による励ましはできますが、その他の補助行為はできません。また、ボックスにボールをセットする時や転がったボールを回収する時以外は、手を後に組んでいないと、補助行為とみなされることがあります。
 競技を行うリングは最低25m×10m以上で、リングはネットまたはフェンス等で囲まれます。リング内には最低3mの間隔で2レーン設営され、スタート、フィニッシュラインの手前に6mの助走区間があります。ハードルの高さはそのチームの中で一番体高の低い犬のキ甲の高さとなり、最低20cm最高40cmの高さとなります。
●ボールと首輪
 ボールは空気の抜けていないテニスボールを使用。犬のサイズによっては、危険性のない弾むボールを、審査員長が認めた場合に使用可能です。競技犬の首輪は、緩んだ状態が維持できる平首輪(フラット・カラー)、または胴輪使用することとなっています。(参考:JKCのフライボール規定)

■初歩の練習
 初歩の練習の段階からハンドラーと犬の関係を築いていくように、取り組んでいきます。モチベーションとして、適当なオモチャがまだ見つからなかったり、オモチャで遊べないような状況のときは、フードを使っても構いませんが、フードをモチベーシヨンにし続けていると、練習では良くできていても、競技会にでると誘惑に負けて、ギャラリーに挨拶に行ってみたり、競技に集中できないフライボールドッグとなってしまうことも考えられます。
 モチベーションのレベルとしては、誘惑の高いところでもハンドラーと遊ぶことを、犬が選ぶような段階にまで持っていきます。ゴールしたときなどは犬とハンドラーが引っ張り合うようなオモチャが、一般には良く使われています。犬が戻ってきたところで犬がボールを吐き出したら、紐付きのボールやキューキューオモチャで遊んだりしますが、この状態は犬にリードを付けたのと同じことです。
 一緒に遊ぶときは、必ずハンドラーがオモチャを選びますが、犬がオモチャに執着心を持つように遊んでいきます。犬と遊びの第1歩は室内から始めます。オモチャを引き出しにしまってから、犬を室内に呼び寄せますが、犬が入ってきてもすぐには遊び始めません。しばらく無視して、犬が落ち着いてきたのを見計らって、ハンドラーだけでオモチャを捜すような演技をしてみたり、ハンドラーだけで楽しそうにオモチャで遊んでみます。
 犬が興味を持って近寄ってきても、ハンドラーは犬に負けないで、1分から1分半は一人芝居を続け、犬が飛びついたりして、オモチャを取りそうになっても絶対に渡さないで、オモチャを引き出しにしまってしまいます。これを1日に2回くらい3、4日続けまます。
 犬がどんどん興奮してきて、オモチャを取られてしまったら、犬をちょっと褒めてからオモチャを取り上げ、一度空中に放り投げて、キャッチしたオモチャをそのまま引き出しにしまいます。犬がボールを欲しがっているときに、ハンドラーがボールを取り上げてしまうことで、ハンドラーに主導権があるということを犬に理解させます。こうしたトレーニングは、バカバカしいと思わないで犬の目線に立って、真剣に取り組むことが大切です。
 犬がオモチャを取ったときには、1回目はすぐに取り上げますが、2回目は2秒、3回目は4秒と長く持たせてやるようにしていきます。次のステップは庭や公園など外で、ロングリードを使いながら、同じ遊びを繰り返します。こうして犬がハンドラーと遊ぶときに、興奮する状態を作っていきますが、ハンドラーの要求通りにエクササイズをこなしたときに、一緒に遊べると理解させていきます。(AFCフライボールセミナーより)